20代女性 産後1か月 臨月からの腰痛
症状
妊娠中は、お腹が大きくなるにつれて腰の痛みが増し、臨月では右の骨盤の辺りに痛みがあった。無痛分娩で安産だったが、産後も腰の痛みが取れず産後1か月に来院した。中腰がとても辛く、ベットからの起き上がる動作やおむつ替えの動作などが非常に痛い。腰の真ん中が痛いこともあれば、右の骨盤辺りのこともある。骨盤ベルトは付けると苦しく、付けていても楽になる感じがないので使っていない。抱っこが多く、腰痛が更に悪化しそうでカイロプラクティックを来院した。
検査
右の仙腸関節に痛みがあり、本人が日頃痛みを訴える場所である。立位では、重心がずれており、骨盤の歪みからくるものと考えられる。立位で身体を反らすと腰仙部(腰椎と仙骨の間)に痛みが出る。
腹部を触診すると腸腰筋(お腹の奥にある股関節をまたぐ筋肉)の過度な緊張がみられる。そのせいで、仰向けで股関節を曲げるとつまり感、屈曲位で動かすと痛みが出る。骨盤の開きが大きく、股関節外側の筋肉である大腿筋膜張筋の緊張も強い。
施術
産後1か月ということもあり、うつ伏せの状態だとすぐ辛くなる状態だったので、なるべくうつ伏せではない状態で施術を心がけ、まずは仰向けでゆっくりと腸腰筋(お腹の奥にある股関節をまたぐ筋肉)を緩めた。時間をかけて股関節を動かしながら行った。この時点で施術前よりも股関節を曲げた時のつまり感が減った。横向きになり、お尻や太もも外側の筋肉などを緩めて、股関節を動かした。そのままの態勢で骨盤の矯正を行った。矯正後は、立位にて左右のバランスが均等になり、右骨盤の限局した痛みが軽減した。
この方の場合、骨盤が産後により不安定であり、施術後は快調でも翌日には元の状態に戻ってしまうことが多かった為、数日おきの施術を継続した。また、腹筋の低下が著しく、腸腰筋に負担がかかる原因の一つでもあったので、産後3か月頃から、激しいエクササイズではなく、骨盤の前後傾のエクササイズを行いながら腹筋を使うピラティスのエクササイズを取り入れた。
結果
産後1か月という時期は、一般的には骨盤は不安定で骨盤ベルトなどで安定させることが好ましいが、骨盤のズレを伴っていた為、ベルトで安定させても痛みは取れなかったのでしょう。また、施術後翌日には再発というのも、お子さんの抱っこやおむつ替えなど腰に負担をかける姿位が多いので、なかなか思うように安静にできないことが原因でもあります。改善と再発を繰り返し、産後の腰痛は時間がかかる方も少なくはありません。その場合は、やはりセルフケアが大事になってきます。この方の場合は、腹筋の低下が著しく、腹筋を意識するエクササイズを取り入れました。エクササイズというとハードなイメージで、産後にやっていいの?と思うかもしれませんが、エクササイズの内容によります。産後数か月は、安定するポジションであったり、安全で分かりやすいものであれば大丈夫です。うまく使えていない筋肉を意識する、改善させることは大切であり、特にこの方のように姿勢を維持する際に関わってくるような筋肉は鍛えてあげると効果的です。妊娠中から産後の腰痛は、カイロプラクティックの施術が効果的です。
産前産後の女性を対象とするエクサイズに興味を持ち、ピラティスインストラクターの資格も取得。WHO基準カイロプラクターとして、より効果が高く持続する独自のケアメソッドを提供しています。一児の母。